枕草子 第129段「頭の弁の職に参り給ひて」
 
    
問題と解答/解説【発展的学習 問一〜】
 
    
                   【陳述の副詞】        
  
   問一     本文中の陳述の副詞とその呼応を説明せよ。             
   
   @
よに → ゆるさ (打消推量)(けっして・・・許さないだろう)         
   
   A返しも
 → せ (打消)(返事も・・・することができない)
   
   Bつゆ → 見せ侍ら(打消)(けっして見せません)
 
   Cなどて(疑問) → 省略かくのたまふ(連体形)」(どうしてこんなことをおしゃるのですか)
 
   Dいかに(疑問) → つらからまし(連体形)(どんなにか・・つらいことであろう)
 
                   → 陳述の副詞一覧
 
       敬  語

  問二
 次の傍線部の敬語について、(ア)
敬語の種類 (イ)誰から (ウ)誰への敬意か。(エ)本動詞の場合は敬意のない語[終止形]も記せ。
 
 ○ 頭の弁の、職に @参り A 給ひ て
 
(@動詞ラ行四段連用形 A補助動詞ハ行四段連用形)

 ○ 「御物忌みなるに、・・」とてB参(まゐ)り 給ひぬ。

  (B動詞ラ行四段連用形)
 
 ○ 「昔物語もC聞こえ明かさむ」
 
 (C動詞サ行四段未然形)

 ○ 「いと夜ふかくD侍り ける鳥の声は・・」とE聞こえ たれば、
 
  (D動詞ラ変連用形  E動詞ヤ行下二段連用形)
 
 ○ はじめのは・・・とりF給ひ てき
 
  (F補助動詞ハ行四段連用形)
 
 ○ 「さてその文は・・」とGのたまへ ば
 
  (G動詞ハ行四段已然形)
 
 ○ 「まことにH思(おぼ)しけりと・・御文は・・つゆ見せI侍らず」
 
  (H動詞サ行四段連用形  I補助動詞ラ変未然形)

 ○ 「こはなどて。よろこびをこそJ聞こえめ」
 
 (J動詞ヤ行下二段未然形)
 
 ○ 「まろが・・さを頼みK聞こえむ」
 
 (K補助動詞ヤ行下二段未然形)

  ○ 経房の中将Lおはして、「頭の弁は・・・ほめM給ふとは知り・・」
 
 (L動詞サ変連用形  M助動詞ハ行四段終止形)
 
 ○ 「・・うれしき」などまめまめしうNのたまふもをかし。
 
 (動詞ハ行四段連体形)
 
 ○ 「うれしき・・かのほめO給ふなるに、・・うちにP侍りけるをなむ」
 
 (O補助動詞ハ行四段連体形 P動詞ラ変連用形)
 
敬 語 (ア)敬語の種類 (イ)誰から  (ウ)誰へ (エ)敬意のない語
@ 参り 謙 譲 清少納言 中宮定子  来(く)
A 給ひ  尊 敬 清少納言 頭の弁  
B 参り 謙 譲 清少納言 宮中(天皇)  去(い)ぬ
C聞こえ明かさ 謙 譲 頭の弁 清少納言 語り(言ひ)明かす
D 侍り 丁 寧 清少納言 頭の弁  あり
E 聞こえ 謙 譲 清少納言 頭の弁  言ふ
F 給ひ 尊 敬 清少納言 僧都の君  
G のたまへ 尊 敬 清少納言 頭の弁  言ふ
H 思し 尊 敬 清少納言 頭の弁  思ふ
I 侍ら 丁 寧 清少納言 頭の弁  
J 聞こえ 謙 譲 清少納言 頭の弁  言ふ
K 聞こえ 謙 譲 頭の弁 清少納言  
L おはし 尊 敬 清少納言 経房の中将  来(く)
M 給ふ 尊 敬 経房の中将 頭の弁  
N のたまふ 尊 敬 清少納言 頭の中将  言ふ
O 給ふ 尊 敬 清少納言 頭の弁  
P 侍り 丁 寧 清少納言 経房の中将  あり

                                    → 敬語法(一覧表
 おはします」「おはす」「います」について、
  清少納言は、地の文において、次のように使い分けをしている。
  @おはします=天皇・中宮・選子斎院・東三条院・道隆・貴子(中宮の母)・淑景舎などに用い、皇族や関白などを中心に高い敬意を示している。
  Aおはす=道隆・貴子・淑景舎をはじめ俊賢など、昇殿を許された五位以上の公家の人々に用いている。
  Bいます=神に用いた一例のみ。
                            
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