1. この事典は、古典の学習や読書中に出てきた歴史上の人物を、即座に調べ理解を助けることを目的とし、簡便さに主眼を置いたものである。
2. この事典は、古典作品の作者や編集者、および詩歌集・俳諧集等に入集している漢詩人・歌人・俳人等の、人物名とその略歴や主要作品を簡潔に列挙したものである。 3. この事典は、音読みの索引を内蔵しているので、読み方のわからない人物名は「音読み」で調べて正式名を見い出すことを可能にした。また、正式な読み方の不明なものも、すべて音読みで示した。ただし、読み方が一般化していてそれ以外に読み方がないと思われるものには、音読みは示さなかった。 4. この事典は、一人一行以上を当て、その中に多くの情報を盛り込んだものである。従って、略語を多く使用しているので、以下の事項を参照され、活用されたい。 |
1. 「見出し語」の表記は、姓名のうち、原則として「名」を中心とした。但し、
ア) 僧侶などにおいては、「釈」は省略した。
イ) 狂名・戯作号などにおいては、姓名で一連の意味をなしているものが多いので、理解しやすくするために、姓名を通して「見出し語」にしたものもある。
(例)「大石小石躬陰(おおいしこいしのみかげ)」
2. 本名・字(あざな)・号などのうち、出来る限り最も一般的に用いられているものを「見出し語」に用いた。
ただし、他の「名」も可能な限り載せて、「→」をつけて「正式見出し語」を指示した。
3. 「見出し語」の読み方を、すぐ後の( )に記した。2つ以上の読み方がある場合も、「・」または「/」をつけて並記した。
4. 同じ読み方の「見出し語」がある場合は、時代の古い順に並べた。
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1. 「見出し語」の後の( )内において、見出し語の読み方(ひらがな)のあとに、「・」で「姓」を記した。「見出し語」が、「号」や「字(あざな)」の場合、 姓のあとに続け「名」を記した。
(例)桜陰(おういん・吉野、名;世行) ・・・・・「吉野」は姓、「世行」は名を示す
2. 本姓・家名・養子先の姓・改姓など、姓が複数ある場合も、並記した。
3. 「見出し語」以外の「字(あざな)」「通称」「号」なども、出来る限り記した。但し、あまりに多くある場合は省略したものもある。
4. 説明においては、天皇をはじめ、すべての敬称を省略した。但し、「見出し語」においてはその限りではない。
5. 索引を兼ねるため、音読みの「名」「字」「通称」「号」を「見出し語」に記した。
もちろん「→」をつけて「正式見出し語」を指示した。したがって、読み方のわからない名や号も「音読み」で検索すると「正式見出し語」が判明する仕組みである。ただし、あまりに一般的な読み方の場合は音読みの見出しを記していない。
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1. 生年と没年を西暦で示した。不明の場合は?をつけ、推定年の場合は、西暦のあとに「?」をつけた。
(例)在列(ありつら・橘) ? - 953? ・・・・生年は不明、没年は推定953年
生年と没年がわかる場合は没年のあとに茶色斜字 で年齢 を入れた。 2. 生年と没年が不明の時は、作品成立年を作品名の前に記し、活動時期が判断できるように努めた。
(例)為文(いぶん、京俳人)?-? 1687吉水「京日記」入 ・・・・・1687年成立の吉水著「京日記」に句が入っていることを示す
3. 作品成立年も不明な時は、活動時期を時代名(平安期など)や世紀(ct)で示した。江戸期の場合は元号(元禄期など)で示した場合もある。また時代名を略号で記したものもある。
→ [F 略号1−2]参照
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1. 作品名に「 」が記してあるのが見出し語人物の著作である。但し、混乱をきたしそうな場合には、作品名のあとに「 」著と記したが、ほとんどの著作には「 」のみで著の文字は付していない。
2. 詩歌集などを編集した場合は、作品名のあとに 編 と記した。共編・共著の場合はその旨を記した。
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1. 父親については、「○○男」「○○女」の「○○」で記し、「見出し語」の人物が「○○の息子」「○○の娘」であることを示す。 母親については、場合に応じて「母:△△」と記した。 |
2. 時代については、次のように略した。 平安期=平安時代 鎌倉期=鎌倉時代 南北期=南北時代 室町期=室町時代 安桃期=安土桃山時代 江期=江戸時代 |
3. 分野・系統については、次のように略した。
詩=漢詩人 歌=歌人 俳=俳人 漢=漢学者 連歌=連歌師 儒=儒学者 国=国学者 蘭=蘭学者 医=医者
書=書家 画=絵師 浄作=浄瑠璃作者(脚本家)
僧:真言僧=真言宗の僧侶 天台僧=天台宗の僧侶 ・・・・(以下同様)
歌伎作=歌舞伎作者(脚本家) 歌伎役=歌舞伎役者
仮草=仮名草子作者 浮世=浮世草子作者 読=読本作者
洒=洒落本作者 滑=滑稽本作者 黄表=黄表紙作者
草子=草双子作者 噺本=噺本作者 狂歌=狂歌作者 川柳=川柳作者
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4. 門下・出身地・住人については、次のように略した。
1 師が明確な場合は、人物名を挙げて「○○門」と記した。 2 出身地が重要な場合は、地名を入れて「○○人」と記した。
3 活躍地が一定の場合は、地名を入れて「○○住」と記した。
4 昌平黌出身者は「昌平黌出」とした。
※「3.分野・系統」と「4.門下・出身地・住人」とを組み合わせて記した場合もある。
(例)堺俳=堺の俳人 広島儒=広島出身の儒学者 京住歌=京都住人の歌人 貞門俳=貞徳門の俳人 (以下同様)
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5. 作品の入集 については、次のように略した。
1) 漢詩集・歌集・俳諧集・連歌集・歌謡集・狂歌集などに入集している場合は、集名のあとに「○○入」とした。なお、集名の主なものは略号を用いた。[G 略号2]参照 2) 勅撰集に入集している場合は、次のように表記した。
@ 詩歌の集名のあとに「以下」とあるのは、その集以後の複数の勅撰集に入集していることを示す。
(例)「千以下」=千載和歌集とそれ以後の勅撰集に入集していることを示す。
A 「下」のあとにさらに「数字」または「数字+首(句)」とあるのは、その集を含めそれ以後の勅撰集に入集している詩歌の総数を示している。
(例)新勅以下5首=新勅撰和歌集以下の勅撰集に5首入集
B 集名のあとにすぐ数字があるのは、入集している詩歌の「新編国歌大観」の番号を示す。
(例)新古777 = 新古今和歌集771番目の歌として入集
3) 集中の作品番号について:上記「2−B」は勅撰集に限らず、その詩集・歌集・
俳諧集・連歌集・歌謡集・狂歌集などに少数入集している場合も同様に、初めから何番目の作品かを示すために、番号を表示した。 その場合、すべて、「岩波古典文学大系」の番号を用いた。
4) 万葉集の場合は、次の例のように略記した。
(例)
@ 万二期 =万葉集第二期歌人
A 防人歌人=歌を詠んだ防人
5) 入集している「集」の編著者名は、「集」の前に記した。
(例)1633 重頼 「犬子集」 647
↑ ↑
集の成立年 ↑ 集名 ↑ 編著者名 入集している作品の国歌大観番号(ここでは古典大系番号) |
6. 序文・跋文 については、「作品名」のあとに「序」または「跋」と記した。これは、その作品の本文を書いたのではなく、序文または跋文を書いたこと意味する。 |
7. 見出し記号について :「見出し語」の前についている記号(アルファベット)や番号は、便宜上つけたものにすぎず、必ずしも順番にはなってい ないので、一般の利用には注意を注意を払う必要はない。
但し、「→」の記号のあとの「正式見出し語」(B−2)に同名があ った場合、この「見出し記号・番号」により、人物を特定することが可能となる。
(例)浅草市人(あさくさのいちんど) → 市人(いちんど・浅草) 1118
E1134 市人(いちんど・朝早 1118 市人(いちんど・浅草) D1169 市人(いちんど・月六斎) |
集名 の略号は、次の通り。
ア 詩集 私撰集・ 私家集
1 万=万葉集 2 古六帖=古今六帖 3 夫木=夫木和歌集 4 山家=山家集 など (以下同様) |
ウ 歌謡 1 朗詠=和漢朗詠集 2 梁塵=梁塵秘抄 エ 連歌 1 菟=菟玖波集 2 新菟=新撰菟玖波集 3 犬筑=新撰犬筑波集 オ 俳諧 ※ 「俳諧(誹諧)」が冒頭あるいは角書きにあるものは、多く「俳諧(誹諧)」を省略した。 (例) 「前後園」=「俳諧前後園 カ 狂歌・川柳 1 万歳=万歳狂歌集 2 後万歳=徳和歌後万歳集 3 柳樽=誹風柳多留 |